コラムcolumn
時間単位の年次有給休暇制度について
夏真っただ中で体調を崩しやすい時季ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
グスクード社会保険労務士法人です。
はじめに
今回は、働き方改革が推進される中、度々登場する「時間単位の年次有給休暇制度」について概要をお伝えします。
年次有給休暇は1日単位での取得が原則で、労働者が希望し、使用者がよければ半日単位での取得も認めるというのが基本的なスタンスです。
しかし、子供の送迎や役所への手続、通院したいのだけれど1,2時間程度の事なのに1日休暇というのも現代の働き方にはマッチしません。
そこで、所定の要件を満たす場合年5日以内に限り、時間単位での年次有給休暇を取得することが出来るのがこの制度です。
導入要件
ではどのような要件を満たす必要があるのか見ていきましょう。
Ⅰ.労使協定の締結
労使協定で以下の内容について書面により締結する必要があります。
①対象労働者の範囲
②取得可能日数
③1日分に相当する時間数(端数時間についての取り扱いも定めた方が良い)
④1時間以上の時間を単位とする場合はその時間数
Ⅱ.就業規則への記載
休暇については就業規則の絶対的必要記載事項に当たる為、記載が必要となります。
当然ですが、記載内容については労使協定と整合性が取れているか注意しましょう。
記載内容例としては労使協定の内容に加え
①取得した際支払われる賃金額の算定方法
②取得する際の手続など詳細(通常の年次有給休暇のそれに準ずることが多いです。)
等を定めて記載すると良いでしょう。
留意点など
導入、運用を行う際に注意しておきたい事項を確認しておきましょう。
Ⅰ.導入要件を満たさない場合は無効となる可能性がある。
要件を満たして初めて認められる制度であるがゆえに、ルールを無視した運用を行った場合には無効となる可能性があります。
よくあるケースとして分単位での取得(15分や30分といったような)を良かれとして付与するのですが、これらは認められておらず
年次有給休暇を取得したことにならない可能性があるのです。しっかりと導入・運用のプロセスを踏みましょう。
Ⅱ.計画的付与の対象日数に含められない。
年休取得促進を促すための制度として、労使間での取り決めをして、年次有給休暇の取得時期を計画的に決定して取得する
「計画的付与」があります。
残念ながら時間単位年次有給休暇をこの「計画的付与」の対象日数に含めることは出来ません。
Ⅲ.時間単位⇔1日または半日に請求を変更
使用者側より事業の正常な運営が妨げられることを理由に取得時期を変更することが出来る「時季変更権」は時間単位でも認められますが
これらを理由に使用者が半日休の請求を時間単位に変更するなどの取り扱いは認められません。
Ⅳ.繰り越しがある場合でも年5日まで。
時間単位の年次有給休暇を繰り越した場合であっても、年あたりに取得させられるのはあくまで5日分までなので
これを超える取得は出来ないことに注意しましょう。
Ⅴ.年5日の有給取得義務の消化対象にならない。
2019年4月より年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、年5日は使用者が時期を指定して取得させなければならない
ことになっています(時季指定)。しかしこの消化義務の対象日数に、時間単位年次有給休暇消化日数を含めることは出来ません。
最後に
いかがだったでしょうか。弾力的な働き方を促進するには非常に効果的な制度ですが
しっかりとルールを守って導入・運用をする必要がありますね。
また、これらの働き方改革に寄与する制度には助成金を活用出来ることが有ります。(働き方改革推進支援助成金)
導入の際には併せて確認されてみてはいかがでしょうか。
グスクードでは制度導入から助成金申請までトータルにサポートいたします。
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