コラムcolumn
第1子の育児休業給付金と第2子の出産手当金は併給できる場合があります!
こんにちは。
グスクード社会保険労務士法人です。
職場で人事労務を担当されている皆さまの中には、
第1子の育休を取得中の従業員から、「第2子を妊娠しました」という
報告・相談を受けた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
法律上、第2子の産休を取得すると、第1子の育休は終了することになっており、
この点については、ご存じの方も多いと思います。
しかし、この「第2子の産休」を、いつから取得するかによって、
第1子の育児休業給付金と、第2子の出産手当金を、一部、併給できる場合があることは、
実はあまり知られていないのではないでしょうか。
まず、前提となる制度からご紹介いたします。
➀第2子の産休を開始した場合、第1子の育休は終了する
(=第1子の育児休業給付金は、第2子の産休開始日の前日までで支給が終了する)
➁一般的に「産休」と呼ばれる制度は、法律上、「産前休業」と「産後休業」に分けられる
(➔産前休業=出産日以前42日間 産後休業=出産日の翌日から56日間)
➂産前休業は、出産予定の労働者本人が「請求した場合」にのみ、与えなくてはならない
(=労働者本人からの請求がなければ、産前休業は与える必要がない)
※産後休業は、本人の申し出の有無にかかわらず、必ず与えなくてはなりません。
➃出産手当金は、必ずしも「法律上の産前休業を取得していること」が要件ではない
(➔出産のために休んでいれば、必ずしも、産前休業でなくても支給対象となり得る)
以上の制度を前提に、育児休業給付金と出産手当金が併給できるケースをご紹介すると、
まず、➀により、育児休業給付金は、産休開始日の前日まで支給されますので、
第2子の「産休」がいつからスタートするのかがポイントとなります。
この点につき、➂より、産前休業は、労働者本人から、取得の請求があること必要ですので、
本人からの請求がない場合、会社から一方的に産前休業を取得させることはできません。
そうすると、仮に労働者本人が、第2子の産前休業を請求しなかった場合は、
第2子の産前休業自体が発生しないことになり、
第2子の「産休」は、産後休業開始日(出産日の翌日)からスタートすることになります。
よって、育児休業給付金も、産後休業開始日の前日である、出産日まで支給されます。
一方、➃でご紹介したとおり、出産手当金は、
出産のために休んでいる期間に支給されますので、
第2子の出産前の休業が、第1子の育児休業か、第2子の産前休業かを問わず、
その他の要件を満たしている限り、支給されます。
以上をまとめると、労働者本人から、
「第2子の産前休業を取得したい」との請求が、特にないのであれば、
会社は、当人に、第2子の産前休業を与える必要がなく、
第2子の出産日までを第1子の育休期間として取り扱うことで、
『第2子の出産日まで、第1子の育児休業給付金が支給される』とともに、
『第2子の出産日以前42日間分については、出産手当金も支給される』、ということです。
※第2子の出産日に、第1子の育児休業給付金の支給は終了しますので、
第2子の産後休業中(56日間)に支給されるのは、もちろん、出産手当金のみです。
いかがでしたでしょうか。
昨今では、会社に対し、出産・育児と、仕事を両立するための支援が強く求められています。
以上のような制度は、労働者にもあまり知られていない内容ですので、
第1子の育休中の従業員から、第2子妊娠の報告があった場合には、
以上の制度についても、紹介していただければと思います。
なお、仕事と育児の両立を支援すると、会社側が受給することができる助成金もございます。
人事労務や、助成金に関するご相談は、ぜひ、グスクード社会保険労務士法人へ。