2025.02.03

Column

労務管理における「休日」「休暇」「休業」「休職」の違い

こんにちは、グスクード社会保険労務士法人です。
今回は、企業の労務管理において従業員が「休むこと」に関わる制度について解説したいと思います。一言で「休む」といっても、「休日」「休暇」「休業」「休職」などは法的性質が異なり、混同すると労務リスクにつながる恐れがあります。
それぞれの制度の違いを整理し、ポイントをわかりやすく解説いたします。

1. 休日
「休日」とは
休日とは、労働契約上、従業員に労働義務が課されない日を指します。
労働基準法では「少なくとも毎週1日」の休日を与えることが義務づけられており、これを法定休日といいます。
また、法定休日以外に会社が設定している休日は法定外休日と呼ばれます。

2. 「休日」と「休暇・休業」の違い
休日: もともと労働義務がない日です。
休暇・休業: 本来は就業日ですが、何らかの理由で労働義務が免除される日(または期間)です。

3. 休暇
「休暇」とは
休暇とは、労働義務がある日に、会社が個別的に労働義務を免除した状態をいいます。

休暇の種類には、以下のようなものがあります。
(法定休暇)
年次有給休暇(労働基準法第39条)
生理休暇
看護休暇・介護休暇 など

(法定外休暇)
慶弔休暇(結婚・忌引きなど)
特別休暇(夏季休暇、私傷病休暇など)
年次有給休暇以外の休暇は無給とすることも可能ですが、社内規定などで有給扱いにしている企業も多くあります。

4. 休業
「休業」とは
休業とは、一定期間、労働義務を免除する制度をいいます。代表的なものとして、産前産後休業や育児休業、介護休業などがあります。

(休業手当と休業補償)
休業手当(労働基準法第26条)
会社の都合による休業の場合、平均賃金の60%以上を支払う義務が生じます。

休業補償(労働基準法第76条)
業務上の負傷・疾病による休業の場合、平均賃金の60%を支払わなければなりません。ただし、労災保険から同等の給付がある場合は会社の負担が免除されます。

5. 休職
「休職」とは
休職とは、長期にわたって就労できない事情がある場合に、従業員としての身分を保ったまま就業を免除する制度です。法律上の義務ではなく、会社の就業規則で任意に定める制度になります。
当法人にもメンタルヘルスによる休職の相談が非常に多く寄せられていますので、労務管理上は、就業規則の規定、運用が大変重要です。

(休職の種類)
私傷病休職: 病気やケガで長期療養が必要な場合
その他: 公務就任や起訴、出向など、会社が必要と認めた場合
休職期間の長さや復職条件は企業によって異なります。

6. 休憩
休憩とは、労働時間の途中で与えられる、一時的に労働義務のない時間です。
6時間を超える労働では少なくとも45分、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える必要があります(労働基準法第34条)。

7. まとめ
「休日」「休暇」「休業」「休職」「休憩」は、いずれも“働かない”時間に関わる概念ですが、法的根拠や手続き、賃金の扱いが大きく異なります。
就業規則を作成・運用する際には、それぞれの違いを正しく理解し、従業員の権利や企業リスクに配慮した仕組みづくりが必要です。

人事労務コンサルティング

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