2025.03.01

Column

パートさんの離職手続き、適切に出来ていますか?

皆様こんにちは。グスクード社会保険労務士法人です。
今回は従業員が退職した際に行う、雇用保険喪失手続きのお話です。

雇用保険に入っている方が退職した場合、雇用保険の資格喪失届をハローワークに提出します。
失業保険を貰うために離職票を作成したり、被保険者番号を確認したり、
記入する項目が沢山で大変ですよね。

そんな喪失届の中で、「8.1週間の所定労働時間」という記載項目があります。

 

 

 

 

フルタイムの方であれば40時間と書くのは何となく分かると思いますが、
シフト制のパートさんの場合、何時間と書けばいいのか悩まれたことはありませんか?

今回は、パートタイマー(時給制もしくは日給制)さんの場合の書き方について、解説していきます。

退職時の所定労働時間を記入します。

喪失届の面を見ると記載事項に関する注意事項、解説が書いてあります。
その中の9番に退職時の所定労働時間を書く旨が記載されています。

 

入社するときにも労働時間を記載して取得届を作成したと思います。
その情報を見ながら書いてしまうと、途中で労働条件の変更があった場合は間違えてしまうことになりますのでご注意ください。

また、記載の通り記入する時間は「所定労働時間」です。
つまり、雇用契約書等で働くとお約束していた時間のことですね。

時給制のパートさんの場合、シフト毎に変わるから決められないと言われる事も多いです。
シフトで一時的に増減することもあると思いますが、原則週◯日、◯時間のように基準としていた時間を記入します。
所定労働時間をどう決めるかについては別の機会に触れるとして、この労働時間によって
どんな影響があるか、ご存知でしょうか?

 

時給制のパートさんは失業保険の金額が変わるかも?!

「1週間の所定労働時間」は失業保険の賃金日額の計算に利用されます。
賃金日額(失業保険の1日あたりの金額の元になる金額)は離職票で記載している賃金から計算されますが、

① 離職した日の直前の6か月に支払われた賃金÷180

で計算されます。
参考:千葉労働局(基本手当の支給を受けられる金額(基本手当日額)))

ただ、時給制(日給制)の離職者についてはもう一つ計算方法があり、

② 離職した日の直前の6か月に支払われた賃金÷実労働日数✕70%

という例外計算をして、①と②のどちらか高い方が賃金日額になります。
平均賃金や労災の計算を思い浮かべていただければ分かりやすいでしょうか。
この②の計算は時給制の人でも所定労働時間の項目が30時間~40時間の人に適用されます。

つまり、20時間~29時間59分のパートさんは①の計算しかされません。
社会保険の適用拡大などもあって働き方を変更された方も多いです。
毎週30時間前後を働かれている従業員さんは所定労働時間をしっかり把握しておく必要があります。

実際に計算してみます。

時給1,000円、1週間の所定労働時間30時間(5日✕6時間)、
実際に働いた日数は(20、21,18、19、20、19:合計117日)
このパートさんを仮定して計算してみます。

賃金日額
① 離職した日の直前の6か月に支払われた賃金÷180

1,000円✕6時間✕117日=702,000円
702,000円÷180=3,900円

3,900円
② 離職した日の直前の6か月に支払われた賃金÷実労働日数✕70%

1,000円✕6時間✕117日=702,000円
702,000円÷117日=6,000円
6,000円✕70%=4,200円

4,200円

かなり計算結果に差がありますね。
時給制の方は①と②のどちらか大きいほうが賃金日額となりますが、
短時間労働者(30時間未満の労働者)は①の計算しかされません。

うっかり入社当時の記録を書き写してしまったり、だいたい28時間ぐらいかな?と曖昧な情報で記入すると
退職者が思わぬ損をしてしまうこともありえます。

労働時間を管理し、適切に記入しましょう!

いかがでしたでしょうか?意外とこの項目は曖昧に記入していませんでしたか?
働き方を変更する場合は、原則的な働き方をしっかり決めて労働条件通知書(雇用契約書)を更新しましょう。

 

今回の記入項目以外にも喪失届や離職票は非常に項目が多く作成するのは大変です。
記載する上でのルールをすべて把握することは中々に難しい・・・そんなときは専門家に依頼を検討しましょう!
顧問契約
顧問契約を結ぶ事で煩雑な作業を委託する事が出来て本業に集中できますね!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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