こんにちは。グスクード社会保険労務士法人です。
働き方改革が進む中、フレックスタイム制は企業にとって、柔軟な働き方を実現するための重要な手段となっています。
従業員が自身のライフスタイルに合わせて働く時間を調整できることで、労働環境の向上や生産性の向上が期待されます。
しかし、フレックスタイム制の導入にあたっては、労働基準法や就業規則の適切な整備が不可欠です。

本コラムでは、フレックスタイム制導入時の留意点と、実務対応について詳しく解説します。

1. フレックスタイム制の概要
フレックスタイム制は、従業員が一定の範囲内で出勤時間や退勤時間を自由に決定できる制度です。
通常、以下のような枠組みで運用されます。

コアタイム:全従業員が必ず勤務する時間帯(例:10時~15時)
フレキシブルタイム:従業員が自由に勤務時間を決定できる時間帯(例:6時~10時、15時~22時)
1日の勤務時間の上限:通常、1日8時間(週40時間以内)を基準にしますが、フレックスタイム制では総労働時間で調整します。

フレックスタイム制は、従業員に自由度を与える一方で、企業側にも業務の進捗を把握するための工夫が必要です。

2. 導入の留意点
【1】就業規則の整備
フレックスタイム制を導入するには、まず就業規則にその旨を明記する必要があります。
特に以下の点を確認・記載しておくことが重要です。

コアタイムの設定:コアタイムを何時から何時までとするかを明確に定めることが求められます。業務の性質に応じて適切な時間帯を設定しましょう。
フレキシブルタイムの範囲:従業員が自由に勤務時間を選べる時間帯を明記します。24時間体制で運用する場合は特に注意が必要です。

総労働時間の管理方法:フレックスタイム制では、日々の労働時間ではなく、一定の期間(例えば1か月)で総労働時間を管理します。
これを規程に反映させることが重要です。

【2】適用対象者の範囲
フレックスタイム制はすべての従業員に適用されるわけではありません。
通常、以下のような従業員が対象となります。

専門職や管理職:自由な時間調整が可能な職種や役職の従業員
特定の条件を満たす従業員:例えば、育児や介護などの理由で柔軟な働き方が求められる従業員

一方で、営業職や生産ラインのスタッフなど、勤務時間の調整が難しい業務に従事する社員には適用しない場合もあります。
対象者を明確に定めることが重要です。

【3】勤怠管理の方法
フレックスタイム制の導入には、従業員の勤務時間を正確に把握するための勤怠管理が欠かせません。主に以下の方法で管理を行います。

タイムカード・勤怠システムの導入:コアタイムやフレキシブルタイムを管理するため、勤怠システムを導入することが望ましいです。
これにより、従業員の労働時間が適切に記録されます。
労働時間の集計:月間で労働時間の集計を行い、過剰勤務や不足勤務がないかをチェックします。

また、フレックスタイム制では、最終的に労働時間が法律で定められた基準を超えないように管理する必要があります。

3. 実務対応のポイント
【1】勤務時間のフレキシブルな調整
フレックスタイム制では、従業員が自分の生活に合わせて勤務時間を調整できるため、企業側は柔軟に対応する必要があります。
しかし、業務の進捗状況を把握し、必要なタイミングで必要な人数が勤務していることを確認することも求められます。
適切なリーダーシップの発揮:リーダーやマネージャーが、従業員の勤務状況を把握し、必要に応じて適切な指示を行うことが大切です。

【2】社員のモチベーション維持
フレックスタイム制の最大の利点は「ワークライフバランス」の向上ですが、そのためには、社員の自己管理能力やモチベーションを維持することが重要です。
成果主義の導入:成果に基づく評価制度を取り入れることで、勤務時間に縛られず、社員が自身のペースで働ける環境を整えることができます。

【3】過剰労働の防止
フレックスタイム制では、勤務時間の自由度が高いため、過剰労働のリスクがあります。これを防ぐためには、適切な労働時間管理と休憩時間の確保が必要です。
過剰勤務のチェック:フレックスタイム制を導入しても、実際に月間の労働時間が40時間を超えていないか、週ごとの勤務時間に偏りがないかを管理し、
必要に応じて調整を行うことが求められます。

4. まとめ
フレックスタイム制は、従業員にとって柔軟な働き方を提供する一方、企業側には適切な管理と調整が求められます。
就業規則の整備や勤怠管理のシステム化、過剰労働の防止など、導入前の準備が非常に重要です。
当法人では、フレックスタイム制の導入サポートや、就業規則の改定支援、勤怠システムの整備など、
企業が円滑に導入できるような支援を行っています。ぜひ、お気軽にご相談ください。