当社は、Made In Local沖縄を代表する企業 選出企業のグループ会社です

2026.06.23

Column

令和8年10月施行|パート・有期法改正で企業が見直すべき実務対応

令和8年10月から、パート・有期雇用労働者に関するルールが変わります

令和8年(2026年)10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが改正されます。今回の改正では、雇い入れ時の労働条件明示、同一労働同一賃金ガイドライン、雇用管理の改善措置について見直しが行われます。

パートや有期雇用の従業員を雇っている会社では、「労働条件通知書のひな形を何年もそのまま使っていないか」「正社員とパート従業員の手当や福利厚生の違いを説明できるか」を確認しておく必要があります。

今回の改正は、単に書式を修正すれば終わりというものではありません。待遇差について説明を求められたときに、会社として合理的に説明できる状態にしておくことが重要です。対応が遅れると、雇い入れ時の説明不足や、正社員との待遇差をめぐるトラブルにつながるおそれがあります。

この記事では、法改正の要点と、中小企業が施行前に確認しておきたい実務対応を整理します。

なお、今回の改正内容については、厚生労働省が公表しているリーフレットを参考にしています。
参考:厚生労働省リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001696565.pdf

企業が押さえておきたい3つの改正ポイント

今回の改正で中小企業がまず確認したいのは、「書類」「待遇差」「説明体制」の3つです。いずれも、パート・有期雇用労働者を雇用している会社では実務対応が必要になる可能性があります。

  1. 労働条件通知書の見直し
    雇い入れ時に、「待遇差の説明を求められること」を明示する必要があります。
  2. 賞与・退職金・手当・福利厚生の点検
    正社員とパート・有期雇用労働者との待遇差について、支給目的や取扱いを確認します。
  3. 説明体制・正社員転換制度・福利厚生施設の確認
    待遇差を説明できる準備や、正社員転換制度・福利厚生施設の利用状況を確認します。

1. 労働条件通知書に「待遇差の説明を求められること」を明示する

新たにパートや有期雇用労働者を雇い入れる際、労働条件通知書などに「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨を明示することが義務化されます。違反した場合は、10万円以下の過料の対象となるため注意が必要です。

実務上は、労働条件通知書や雇用契約書のひな形に新たな記載事項を追加する必要があります。特に、以前から使っている通知書をそのまま使い続けている会社では、記載漏れが起きやすい部分です。

また、書面に記載するだけでなく、説明を求められた場合に誰が対応するのか、どのような資料を使って説明するのかも決めておく必要があります。労働者から質問を受けたときに、担当者によって説明内容が変わってしまうと、かえって不信感やトラブルにつながる可能性があります。

施行前に、労働条件通知書のひな形、相談窓口、説明対応の流れをあわせて確認しておきましょう。

2. 賞与・退職金・手当・福利厚生の待遇差を点検

今回の改正では、同一労働同一賃金ガイドラインも見直されます。賞与、退職手当、家族手当、住宅手当、福利厚生施設などについて、正社員とパート・有期雇用労働者との間に不合理な待遇差がないかを確認する必要があります。

ここで重要なのは、「正社員だから支給する」「パートだから対象外にする」という区分だけでは十分な説明になりにくいという点です。手当や制度ごとに、「何のために支給しているのか」「その目的はパート・有期雇用労働者にも当てはまるのか」を確認する必要があります。

たとえば、業務内容や役割に応じて支給している手当であれば、同じ業務や役割を担うパート・有期雇用労働者にも同様の取扱いが必要になる可能性があります。また、継続勤務が見込まれる従業員に対する手当や制度であれば、雇用区分だけで一律に対象外とすることが適切かどうか、慎重に確認する必要があります。

中小企業では、手当の支給目的が明文化されておらず、「昔からこの運用だから」という理由で続いているケースも少なくありません。しかし、待遇差について説明を求められた場合には、その運用の合理性を会社側が説明することになります。まずは、賞与、退職金、各種手当、休暇、福利厚生について、正社員とパート・有期雇用労働者の違いを一覧にして整理しておくとよいでしょう。

3. 待遇差の説明、正社員転換措置、福利厚生施設の利用状況を確認

今回の改正では、待遇差の有無を点検するだけでなく、その内容や理由を説明できる体制を整えておくことも重要です。パート・有期雇用労働者から説明を求められた場合、会社は正社員との待遇差の内容や理由を、分かりやすく説明する必要があります。

説明にあたっては、口頭でその場しのぎの説明をするのではなく、待遇差の内容や理由を整理した資料を準備しておくことが望ましいです。説明する担当者、使用する資料、説明後の記録の残し方まで決めておくと、実務上の混乱を防ぎやすくなります。

また、正社員転換措置についても確認が必要です。制度が就業規則に書かれているだけで、対象者に十分周知されていない場合や、実際の転換実績がほとんどない場合には、運用面に課題がある可能性があります。正社員転換制度の内容、応募方法、判断基準、過去の転換実績などを、パート・有期雇用労働者に分かりやすく示せる状態にしておきましょう。

さらに、福利厚生施設の利用条件も確認しておきたい点です。食堂、休憩室、更衣室、保養施設、駐車場などについて、パート・有期雇用労働者だけが利用できない、または利用条件が著しく異なる場合には、その差に合理的な理由があるかを確認する必要があります。

賃金や手当だけでなく、説明体制、正社員転換制度、福利厚生施設の利用状況まで含めて確認することで、法改正への対応をより実務に即したものにできます。

施行前に企業が確認したい実務対応

施行前にまず行いたいのは、労働条件通知書・雇用契約書のひな形の見直しです。新たな明示事項が反映されているか、相談窓口や説明を求める場合の流れが分かる記載になっているかを確認します。

次に、正社員とパート・有期雇用労働者で取扱いが異なる項目を洗い出します。対象になるのは、基本給だけではありません。賞与、退職金、家族手当、住宅手当、通勤手当、休暇、休職制度、福利厚生施設の利用など、幅広く確認する必要があります。

そのうえで、それぞれの待遇差について、職務内容、責任の程度、人材活用の仕組み、支給目的などから説明できるかを点検します。特に、手当や福利厚生については、「なぜ正社員には支給し、パート・有期雇用労働者には支給しないのか」を具体的に説明できるかが重要です。

施行前の確認を進める際には、厚生労働省の「パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール」を活用する方法もあります。設問数はやや多めですが、自社の対応状況がレーダーチャートなどで表示されるため、どの分野に課題があるのかを把握しやすいのが特徴です。

ただし、チェックツールの結果だけで対応が完了するわけではありません。診断結果を入口として、実際の労働条件通知書、就業規則、賃金規程、各種手当の運用と照らし合わせながら、自社の制度に不合理な待遇差がないかを確認していくことが大切です。

「説明できる制度」になっているかが重要

今回の改正で中小企業が特に意識したいのは、制度の有無だけでなく、「その制度を説明できるか」という視点です。

たとえば、手当の対象者を正社員に限っている場合、その手当の目的が正社員だけに当てはまるものなのか、パート・有期雇用労働者にも同じ事情があるのではないかを確認する必要があります。正社員転換制度についても、制度が存在するだけでなく、対象者に分かりやすく周知され、実際に利用できる仕組みになっているかが問われます。

また、不合理な待遇差を解消するために、正社員側の労働条件を安易に引き下げる対応は望ましくありません。制度を見直す場合には、パート・有期雇用労働者の待遇改善を含め、自社の人事制度全体としてバランスの取れた対応を検討する必要があります。

法改正への対応では、通知書の修正だけでなく、手当や賞与、退職金、福利厚生、正社員転換制度、説明体制まで含めて確認しておくことが大切です。施行日が近づいてから対応しようとすると、書式の修正だけで手一杯になり、制度全体の点検まで進まないことがあります。

パート・有期雇用労働者を雇用している会社は、まず労働条件通知書、各種手当、福利厚生、正社員転換制度、説明体制を順に確認し、必要に応じて早めに見直しを進めておきましょう。自社だけで判断しにくい部分がある場合は、施行前の段階で専門家に相談し、制度と運用を整理しておくと、改正後の対応がスムーズになります。

少しでもご不安なことや疑問点がございましたら、ぜひ当法人までお気軽にご相談ください。専門家として、御社の状況に合わせた安心できる労務環境づくりをしっかりとサポートさせていただきます。
人事労務コンサルティング

最近の投稿

月間アーカイブ