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2026.08.17

Column

残業時間の「15分未満切り捨て」、していませんか? 給与計算の意外な落とし穴

こんにちは、グスクード社会保険労務士法人です。

みなさんの会社では、残業時間の集計をどのように行っていますか? 「うちは15分単位。15分に満たない端数は切り捨てて計算している」―― 昔からの慣行として、こうした処理を続けている会社は少なくありません。
実はこの処理、労働基準法違反(未払い賃金)となる可能性が高いのです。 一方で、あまり知られていませんが、法律上きちんと認められている端数処理も存在します。 今回は、この「やってはいけない丸め」と「やってもよい丸め」の判断基準を解説します。

原則は「1分単位」での把握・計算
労働時間は、原則として1分単位で把握し、賃金計算に反映しなければなりません。 毎日の残業時間を「15分未満切り捨て」「30分単位に丸める」といった処理は、切り捨てた分の賃金が支払われないことになり、賃金全額払いの原則(労基法24条)に反します。

【どのくらいの影響があるか?】
条件:残業単価1,250円の従業員が、毎日10分ずつ残業(月20日勤務) 処理:日々「15分未満切り捨て」で集計
この場合、毎日の10分はすべて「0分」扱いとなり、月に200分(3時間20分)が未計上になります。 金額にすると約4,100円/月、年間では約5万円。対象者が10人いれば、年間約50万円の未払いが静かに積み上がっていく計算です。 未払い賃金の消滅時効は当分の間3年とされており、後からまとめて請求されれば、決して小さな金額では済みません。

実は「合法な端数処理」もある
では、1円・1分の単位まで一切丸めてはいけないのかというと、そうではありません。 行政通達(昭和63年3月14日 基発第150号)では、事務簡便を目的とした次のような処理は、常に労働者に不利になるものではないとして認められています。

1. 1か月の合計時間での丸め:1か月における時間外・休日・深夜労働の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる
2. 単価の円未満処理:1時間あたりの賃金額・割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる

つまり、「日々の切り捨てはNG、月の合計での30分ルールはOK」。 毎日几帳面に1分単位で積み上げたうえで、月の合計時間が「10時間25分」なら10時間として計算してよい、ということです(10時間40分なら11時間に切り上げ)。 逆に言えば、これまで端数に悩みながら細かく計算していた担当者の方にとっては、合法的に事務を簡便化できる余地がある、ということでもあります。 なお、労働者に有利な方向への丸め(一律切り上げ)は、いずれの場面でも問題ありません。

なぜ、この間違いが起きやすいのか?
一つは、「15分単位」「30分単位」という処理が、タイムカード時代からの社内慣行として疑われないまま引き継がれていることです。 そしてもう一つ、近年増えているのが、クラウド勤怠システムの「丸め設定」です。 導入時の初期設定やタイムカード時代の運用をそのまま引き継ぎ、日々の打刻が15分単位で丸められている――システム化して安心していたら、実は毎日切り捨てが自動で行われていた、というケースは珍しくありません。 勤怠管理をシステムに任せている会社ほど、一度「丸め設定」の中身を確認してみることをおすすめします。

“慣行だから”では通用しないリスク
日々の切り捨ては、従業員からの指摘や労働基準監督署の調査で「未払い賃金」と判断されれば、過去に遡っての支払いが必要になります。 1回あたりは数分・数十円でも、人数と期間を掛け合わせると大きな金額になるのが怖いところです。

給与計算・勤怠管理の見直しはお気軽に
「うちの勤怠システムの丸め設定、大丈夫だろうか」 「月合計での端数処理に切り替えたいが、就業規則はどう直せばいい?」
そんな疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度当法人にご相談ください。
グスクード社会保険労務士法人では、給与計算アウトソーシングはもちろん、勤怠管理の運用チェックや就業規則の整備まで、幅広くサポートしています。

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