コラムcolumn
有給休暇の有効期限が来てしまう!有効期限後の取得申請はできるの?

みなさんこんにちは。グスクード社会保険労務士法人です。
従業員にとって大切な年次有給休暇。この取り扱いについて、
「有効期限が切れてしまう有給休暇があるのですが、有効期限後に取得する申請は可能ですか?」
といった相談を受けたことはありませんか。
有給休暇の管理は日常的な業務ですが、こうしたイレギュラーな申し出があると
「法的にどう扱えばいいのか」「特別な対応をしてもよいのか」と迷ってしまうこともあるかと思います。
今回は、有効期限が切れた年次有給休暇(失効年休)の取り扱いと、会社として取るべき対応について解説します。
【有給休暇に関連したコラムはこちら】
「今日は有休扱いで」はOK?会社が知っておきたい年次有給休暇のルール
有給休暇のコーデポイント!
有給休暇の付与のタイミング
■ 年次有給休暇の時効は「2年」
まずおさらいとして、労働基準法において、年次有給休暇を請求する権利は「2年」で時効により消滅します(労働基準法第115条)。
具体的には、有給休暇が付与された日から2年間が経過すると、その休暇は法的に消滅(失効)することになります。
そのため、有効期限切れ分の有給休暇について、従業員から「後から取得申請したい」と言われても、会社としてはこれに応じる法的な義務は一切ありません。
「期限切れのため取得はできません」と回答することが、法律上の原則となります。
■ 【Q&A】有効期限前に「期限後の日程」で申請した場合は?
ここで、実務において迷いやすい具体的なケースを一つ挙げてみましょう。
「2026年9月1日」に有効期限が切れる有給休暇があります。
この有給休暇について、有効期限前の「2026年8月15日」に、期限後である「2026年9月15日」の分として取得申請をすることはできますか?
【回答】
結論から言うと、その申請で期限切れの有給休暇を取得することはできません。
たとえ申請を行った日(8月15日)が有効期限前であったとしても、有給休暇を実際に取得する日(9月15日)の時点では、
すでにその有給休暇の権利は消滅(9月1日に失効)してしまっているからです。
したがって、9月15日に有給休暇として休むのであれば、その時点で有効期限が残っている「別の有給休暇」を充てることになります。
■ 「今回だけ特別に」はご用心。
有効期限が過ぎた有給は原則として使わずに消滅してしまいますが、
企業が福利厚生の一環として、独自に失効した有給休暇を利用できる「失効年休積立制度(積立保存休暇制度)」を設けているケースもあります。
これは、時効で消滅してしまった年休を一定日数まで積み立てておき、従業員自身の私傷病による長期療養や、家族の介護、ボランティア活動など、
会社が定めた特定の目的に限って利用を認める会社の福利厚生制度の一環です。
裏を返せば、就業規則にこうした制度がないにもかかわらず、特定の従業員にだけ「今回は特別に」と失効年休の利用を認めてしまうと、
他の従業員との間で不公平感が生じ、後々トラブルの火種になる可能性があるため注意が必要です。
■ トラブルを防ぐために総務担当者がすべきこと
こうした期限切れにまつわるトラブルを防ぐため、総務・人事担当者の皆様には以下の対応をおすすめします。
1.有給休暇の期限管理
入社日の異なる従業員ごとの期限管理なんてできない・・・そうしたお悩みを持たれる方も多いです。
勤怠ソフトの多くは自動付与や有効期限の管理機能がついています。
業務の効率化もかねてタイムカードのデジタル化をご検討ください。
2.計画的な取得の促進
そもそも有給休暇が失効してしまう状況を作らないことが理想です。
定期的に有給休暇の残日数や有効期限をアナウンスし、従業員が計画的に休暇を取得できる環境づくりに取り組みましょう。
■ まとめ
- 年次有給休暇は付与から「2年」で時効となり消滅する。
- 時効後の取得申請について、会社に応じる法的義務はない。
- 就業規則に「失効年休積立制度」等がある場合は、そのルールに従う。
- 例外的な対応は避け、就業規則に基づいた公平な運用を徹底する。
いかがでしょうか。頻繁ではないケースの取り扱いについては意外と答えられないこともありますよね。
有給は従業員の関心が高い制度です。しっかり有給利用できる企業は離職率も低い傾向があります。
顧問契約を頂く事でこうした疑問や制度設計に関してお気軽にご相談が出来ます!是非検討ください。




