2021.04.13

Column

インタビュー「グスクード社会保険労務士事務所 代表 渡慶次 佳朗」

「グスクード」の名前の由来を教えてください。

お城(グスク)という響きが好きなので、それを使いたかったんです。
coordはcoordinateという言葉をもじってを作りました。我々はコーディネートする仕事でもあります。
昔は、お城に士がいたので、ロゴは「士」という漢字を入れて、士業同士で連携して動くという意味を込めています。
外から来る人をお城に迎えましょうという意味もあります。

経歴がとてもすごいのですが、そこからなぜ今の仕事をしようと思ったのでしょうか?

海外で大学院を修了後、シーボルト財団(オランダ)、クリフォードチャンス法律事務所(イギリス)、などの東京拠点勤務を経て社会保険労務士の資格を取得しました。沖縄で独立したいという思いが強く、たまたま人事、総務の仕事にも関わったのと、沖縄と世界、県外を結びつける仕事がしたいと思っていたのが、この仕事をするきっかけでした。
沖縄では、労働に対する価値観について、東京や海外と比べる大きなギャップがありますが、沖縄に進出した企業にとって「現地の人材を育成し、活躍の場を作る」ということが成功へのカギになります。また沖縄の人材が活躍し、適正な報酬を得ることは、県内経済に好循環を生み出します。そのような会社の人事労務環境の構築をサポートすることで、県民が主役の経済発展に貢献したいと思っています。

事業の内容を教えてください。

地元企業はもちろん、県外、海外から沖縄に進出する企業にむけて、人事のサポート、コンサルティングを中心に事業を展開しています。

沖縄に進出してくる企業の多くは、助成金の活用を希望していますが、助成金に関する情報は整理されているとは言い難く、ほとんど企業目線でサポートされていないのが現状です。この分野は行政によるサポートというよりも、地元に拠点を置く民間の士業がビジネスとして、しっかりとサポートする必要があると我々は考えています。厚生労働省系の助成金を活用するためには、人事・労務面を整備することが必要になりますが、そのためには社労士が必要ですし、事業を行うための許認可や外国人の就労ビザの申請は行政書士、税制の優遇措置の活用には税理士の視点も必要となります。このように企業の地方進出にあたっては、様々な方面にニーズが派生していきますが、そのニーズを地元の士業事務所がフォローすることにより、経営者が現地における生のビジネスの情報を把握することができ、現地に即した経営戦略を練ることができるようになります。そのため当事務所では他の士業事務所とも連携し、ワンストップサービス体制を構築しています。
現在、顧問先様の県外、県内の比率は半分くらいです。

業務内容としてはどの業務の比率が大きいでしょうか?

人事労務に関するコンサルティング業務が多いです。人事労務分野には、正解がないような問題が多いので一緒に考えていきます。例えば、「どのような人事制度にすべきか?」、あるいは「問題行動を繰り返す社員にどう対応するか?」、というのは、ケースバイケースで正解が異なるので、クライアント様と一緒に考えながらやっています。
人事労務の環境整備は日々の積み重ねであるため、基本的には顧問契約をいただき、経営に長期的に伴走するというスタイルをとっています。小~中規模の事業所では、社保・労務関連手続もアウトソースで受託するケースも多いですが、ある程度大規模な企業であれば、社内で手続業務は処理できるため、相談・提案業務のみの契約というケースもあります。いずれにせよ、助成金の活用をベースにしつつ、付加価値の高いサービスを提供することを心掛けており、我々にお支払いいただく顧問料や手数料よりも、大きなメリットを顧問先企業に還元するようにサービスを組み立てています。
正直、助成金目当てだけのお客様はあまり、お付き合いしていません。人を大事にし、人事労務環境の整備に真摯にとりくんでいただける企業とお付合いさせて頂いています。

ストレスチェックなどもやられているのですが、どういう事をやっているのでしょうか?

2015年12月より、常時50名以上の事業所にはストレスチェックが義務化されています。これは各個人のストレスの度合いを測るのが元々の趣旨ではあるのですが、個人の結果を集積する事で組織としてのストレス状況が把握できます。なぜ、ここで働いて、ストレスを抱えるのか? 仕事の量、身体的負担、対人関係、上司のサポートなど、どこが悪いのかが、一目瞭然で分かります。当事務所では、その結果をもとに職場環境改善のアドバイスを行います。
最近、ストレスチェックの義務化で一儲けしようという業者が急増しましたが、これらの業者の多くは、WEBによる自動判定システムを提供するだけで、実は義務化で求められる法的な要件を満たしていないことが多いです。本来であれば、法令で求める基準に則って、医師または保健師等が判定しなければいけないのですが、多くの業者が提供する自動判定システムを使うと、企業が自分たちでストレスチェックの実施者となる医師・保健師等を探さなければならなくなります。
当事務所が提供するストレスチェックは、紙ベースで実施しますが、診断結果には提携する医師の記名・押印をつけており、義務化の要件に完全対応しています。現状として、ストレスチェックの判定をしてくれる医師・保健師等を県内で探すのが非常に難しい状況があり、義務化の対象になっている企業で、実施者となる医師や保健師等を探すことができない企業が、当事務所に相談に来るケースが多くなっています。

沖縄の経営者にどんなことを言いたいですか?

会社だけが得して社員が損をするような仕組みというのは、1年、2年の短期的なスパンでは利益が上がるかもしれないませんが、長期的には持続しません。企業が継続的に発展するためには、人がもたらしてくれる財産が大切です。良い人に選ばれる会社を作り、入った人がそこで成長し、成長した人が高いパフォーマンスを発揮する、長期的に発展し続けている企業というのはそういう企業です。我々としては、そのような企業が沖縄に一つでも多くできるよう事業に取り組んでいきたいです。
現状、典型的な沖縄企業の賃金体系というのは、「文鎮型」と言われていて、一族経営の役員報酬だけが飛びぬけて高く、他の社員の賃金はフラットかつ著しく低い傾向にあります。沖縄は低所得の地域だといわれますが、正確にはそうではありません。確かに平均年収は全国最下位ではありますが、年収1,000万円以上の方の比率は、全国でも10位以内といわれています。つまり所得の偏り、格差が大きすぎるのです。地域における所得格差を示す「ジニ係数」という指数がありますが、その数字は全国でもダントツ1位です。一般の社員の年収が上がらないと消費も増えないし、経済は豊かにならない。経済が豊かにならないと、子供の教育にも投資ができず、結局は負のスパイラルに陥ってしまう。
我々は事業をとおして、このような沖縄の状況を変えたいと思っています。この状況を変えるには、やはり適正な人事制度の構築と労務環境の整備が必要不可欠であり、我々は事業ミッションとして、沖縄の格差の是正に取り組んでいきたいと考えています。

沖縄の経営者にそういうことを認識させるにはどうしたらいいのでしょうか?

やはり、県外・海外から良い企業がたくさん沖縄に進出することだと思います。外からできるだけ良い企業に来てもらい、給与や待遇面はもちろん、成長のチャンスや、社内制度の公平性といった面でも大いに県内企業と競争してもらうことで、沖縄の人材の底上げになると思います。我々が県外・海外から進出する企業をサポートしている理由は、そこにあります。
厳しい言い方になりますが、「沖縄には沖縄のやり方がある」と固執して、旧態依然とした搾取型の経営をしている企業に未来はないと思います。外から来た良いものを取り入れ、自分たちなりに工夫し、独自の価値に昇華させる、沖縄の人たちが遥か昔から得意としてきたことを今、沖縄の企業はやらなければならないと思います。そのサポートを我々は誠心誠意やっていきたいと思います。

会社概要

株式会社グスクード
営業時間:9:00 ~ 18:00(定休日:土日祝祭日)
事業内容:経営コンサルティング、ストレスチェック等

グスクード社会保険労務士事務所
https://guscoord.jp/wp/
営業時間:9:00 ~ 18:00(定休日:土日祝祭日)
事業内容:社会保険労務士業、人事労務コンサルティング

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