2023.12.12

Column

非常勤役員の社会保険加入について

こんにちは、グスクード社会保険労務士事務所です。

今回は、非常勤役員の社会保険加入についてです。
よくあるお問い合わせとして、「非常勤役員だから社会保険に加入しなくてもいいよね?」といったご質問がございます。
こちらはよく誤解されている事ですが、「非常勤」だから社会保険に加入しなくても良い訳ではなく、
「役員の社会保険加入要件に該当しない場合」に加入しなくても良い事になります。

法人の役員は、業務の実態により適用の有無を判断されますが、下記の①および②の「いずれにも該当する」場合は、被保険者であると判断されます。こちらは非常勤役員についても同様です。

①役員の業務が、経営参画を内容とする経常的な労務の提供に該当する(経営にかかる決定権や従業員への指揮命令権を有している)
②役員の報酬が、業務の対価としての経常的な支払に該当する(実費弁済的な支払ではない)

この要件については、管轄の年金事務所が個別具体的な実態を確認して総合的に判断するという事になっていますが、
「個別具体的な実態を確認して」という、判断基準については、協議照会にて下記の基準例が出されています。

1.当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。
2.当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。
3.当該法人の役員会等に出席しているかどうか。
4.当該法人への役員への連絡調整又は職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。
5.当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。
6.当該法人より支払を受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実費弁済程度の水準にとどまっていないかどうか。
※1~6はあくまで例として示すものであり、それぞれの事案ごとに実態を踏まえて判断されたい。

これらの判断基準は、該当するものが多くあるかどうかといった事ではなく、どの程度「経営に関わっているのか」という事を個別に判断している為、判断基準が1つしか該当していので、要件には該当せず社会保険に加入しなくても良いといった事にはなりませんので注意が必要です。
特に4又は5に該当する場合には、経営参画に強く関わるものとして「①役員の業務が、経営参画を内容とする経常的な労務の提供に該当する」に該当すると判断される可能性が非常に高いです。

逆に、役員会への参加が活動の主として、4.役員への連絡調整を行っていない、又は指揮監督を従業員に対して行っていない。
5.求めに応じて意見を述べるにとどまっている。といった場合には、経営参画に強く関わっていないと判断をされるケースもございます。

結論として非常勤役員が社会保険に加入するかどうかという事は、その役員が組織内でどのような役割を果たしているか、どの程度経営に関わっているかといった事によって決まります。そして一番大事なのは、判断を行うのは管轄の年金事務所であるという事です。
質問の仕方によっては回答も変わってくる事もございます。その為、非常勤役員の社会保険の加入については、業務の性質や報酬の性質をまとめた上で、管轄の年金事務所へご相談される事が重要です。

弊所では人事労務に関する様々なご相談をお受けしております。お気軽にご相談下さい。

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