2023.08.23

Column

正しく運用できていますか?労働法関連で締結が必要な労使協定

こんにちは。
グスクード社会保険労務士事務所です。

突然ですが、皆さまの事業所では、労使協定の締結が正しく運用できていますか?
「36協定でしょ!ウチではちゃんと締結し、毎年1回更新してるから大丈夫!!」
そう思った皆さま、実は、労働法において、
事業所と従業員との間で締結しておく必要がある「労使協定」は、
36協定だけではないんです。
今回は、さまざまな労使協定について、ご紹介いたします。

従業員が時間外労働をすることができるようにするための労使協定である、
36協定は、もっとも有名な労使協定ですが、
その他にも、例えば、従業員へ給与を支給する際、
現在では、現金を手渡している事業所さんは少なく、
多くの場合、従業員の預貯金口座へ振り込むことが一般的になっているかと思いますが、
実は、労働基準法上、従業員へ支払う給与は、直接手渡しが原則であり、
預貯金口座へ振込支給するためには、労使協定を締結しなくてはなりません(下表Ⓐ)。
もし、皆さまの会社が、労使協定を締結していないまま、
給与を口座へ振り込んでいるとすると、労働基準法に違反していることになります。

あるいは、例えば、会社で借り上げている社宅に従業員を住まわせ、
家賃の一部をその従業員の毎月の給与から天引きする、いわゆる家賃控除について、
労働基準法第24条では、各種社会保険料と所得税・住民税のように、
法律によって、給与から控除することが認められている費用以外の費用を、
賃金から控除できるようにするためには、労使協定を締結しなくてはならない、
と規定されています(下表Ⓑ)。
つまり、労使協定が締結されていないまま、給与から家賃を控除してしまうと、
労働基準法に違反することになってしまいます。

このように、比較的日常的な場面において、労使協定の締結がひつようであることが、
実はあまり知られておりません。
そこで、代表的な労使協定について、以下の表でまとめてみました。
(下記の表は、すべてを網羅しているわけではありません。
表に記載されている項目以外にも、労使協定の締結が必要な場合はございます。)

項目 労使協定の内容 労基署届出 備考
社内預金 貯蓄金の管理に関する協定 必要  
賃金 賃金の口座振込に関する協定 不要 上述Ⓐ 労基法24条1項
賃金 賃金の一部控除に関する協定 不要 上述Ⓑ 労基法24条1項
労働時間 1ヶ月単位の変形労働時間制 必要* *就業規則に規定した場合は協定の締結・届出は不要
労働時間 フレックスタイム制 不要* *ただし清算期間が1ヶ月を超える場合は届出が必要
労働時間 1年単位の変形労働時間制 必要  
休憩 一斉休憩の適用除外に関する協定 不要  
時間外・休日労働 時間外・休日労働に関する協定届 必要 『36協定』
時間外・休日労働 60時間を超える時間外労働の代替休暇に関する協定 不要  
年次有給休暇 年次有給休暇の時間単位付与 不要  
年次有給休暇 年次有給休暇の計画的付与 不要  
育児・介護 育児休業等に関する協定 不要 育児休業等の制度の適用除外者を設ける場合に締結
育児・介護 介護休業等に関する協定 不要

 

ご確認いただけましたでしょうか。
このように、様々なシーンで、労使協定の締結が必要です。
ただし、協定の締結さえしておけば、労働基準監督署への届出は不要な場合もございます。
もし、労使協定の締結が未了であれば、早めに締結しておくとよいでしょう。
労使協定の具体的な内容などは、グスクード社会保険労務士事務所へご相談ください。

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