コラムcolumn
アルバイトスタッフから子どもの看護休暇の希望があったけど拒めるのか?
皆さんこんにちは、グスクード社会保険労務士事務所です。
育児・介護休暇は、令和3年(2021年)1月1日に「時間単位」取得ができるように改正されました。
令和3年度雇用均等基本調査では看護休暇の取得率は女性は20%以下、男性は10%以下と取得率は低い状況ですが、
国の方針として仕事と家庭の両立を推進していますので今後従業員から希望が増える可能性があります。
さて、今回のコラムでは、子どもの看護休暇の希望があった場合の対応について取り上げます。
最後までお読みいただけますと幸いです。
看護休暇は拒めるのか?
まずは看護休暇とは、小学校就学前の子どもが病気や怪我をした場合に使うことができる休暇です。
1年に5日まで(子が2人以上の場合は10日まで)使用すること可能です。
さて、看護休暇は拒めるのか という議題ですが、原則は看護休暇を拒むことができません。
有給休暇は使用者の時季変更権が認められていますが、看護休暇は変更権が認められないため、
労働日数が少ないアルバイトスタッフの方が看護休暇を希望した場合であっても拒むことができません。
ただし、労働者との話し合いにより労使協定を締結した場合に限り拒むができます。(下記①~③)
① その事業主に継続して雇用された期間が6か月に満たない労働者
② 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
③ 時間単位で看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者
つまり1週間の出勤日数が少ない方、入社して間もない方などは拒むことができます。
時間単位取得の希望があった場合はどうしたらいい?
前項の労使協定に当てはまらない方は、取得できる対象となりますが、
時間単位の休暇を取得したい場合、その労働者の1日の定められた労働時間を超えない範囲で取得できます。
例えば、1日の所定労働時間が8時間の場合、最大で7時間まで時間単位の休暇を取得できます。
この場合、取得した時間に対しては、残りの休暇日数・時間は、4日分(8時間で1日分と計算)と1時間になります。
では、1日の所定労働時間が7時間30分の場合はどうでしょうか?
この場合、最大で7時間まで時間単位の休暇を取得できますが、所定労働時間に端数があるため、考え方は次のようになります。
時間単位で看護休暇を取得する場合は、「30分」という端数を切り上げて、 8時間分の休暇で「1日分」となります。
端数が切り上げられることから下記の「正」が正しい考え方となります。
正:看護休暇1日分(8時間)-実際に取得した時間(7時間)=残り時間(1時間)(残り休暇日数・時間は4日分と1時間)
誤:所定労働時間7時間30分 - 看護休暇7時間00分 = 残り時間(30分) (残り休暇日数・時間は4日分と30分)
また看護休暇の希望を受けた事業主は、下記の内容を確認する必要があります。(口頭・書面どちらでも可能)
① 労働者の氏名
② 申出に係る子の氏名及び生年月日
③ 看護休暇を取得する年月日(1日未満の単位で取得する場合には、看護休暇の開始及び終了の年月日時)
④ 申出に係る子が負傷し、若しくは疾病にかかっている事実、又は疾病の予防を図るために必要な世話を行う旨
書面の提出等を求める場合は事後となっても問題ありませんので、トラブル対策として書面管理をおすすめします。
まとめ
これまでは看護休暇の制度は規定しているが取得する人が少ないことがあったかもしれませんが、今後は増加する可能性も有ります。
その時に備えて、事前に制度を把握し検討を進めることでスムーズな運営を進めることができます。
グスクードでは労務コンサルティングおよび情報提供を行っています。お気軽にお問合せください。