2022.10.19

Column

【前編】会社のPCに飲み物をこぼして故障させた従業員に、修理費は請求できる?

こんにちは。
グスクード社会保険労務士事務所です。

先日、お客様から、
「従業員が、PCにコーヒーをこぼして、故障させてしまった。
このような場合にそなえ、例えば、10万円を限度として、その従業員に、
PCの修理・買替費用を負担させることができるよう、就業規則に定めたい。」
という内容のご相談を受けました。

はたして、このような内容を就業規則へと規定し(➀)、
従業員に修理費用を負担させること(➁)はできるのでしょうか。
今回は、この2つの論点について、全2回にわたり、ご紹介するコラムの前編です。
(【後編】はコチラ👉👉👉https://guscoord.jp/wp/column/9866/

➀就業規則へ「従業員負担(予定)額」を規定することについて
まず、今回のケースの、1つ目の論点である、
従業員の過失により、会社に損害が生じた場合の損害賠償額(従業員負担額)を、
就業規則にあらかじめ規定しておくことについてですが、
この点については、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)により、
法律上、認められていません。
上記相談のように、賠償額そのものではなく、賠償の上限額を決めておくことも、
この条文の規定に抵触する可能性がありますので、妥当とは言えないでしょう。
ただし、この条文は、『損害賠償額の予定』を禁止する法律であり、
『損害賠償』そのものを禁止する内容ではありませんので、
従業員に損害賠償(PCの修理・買替費用)を請求すること自体は、禁止されてはいません。
つまり、従業員がPCに飲み物をこぼして故障させた場合にそなえ、
修理費用の負担(予定)額を、あらかじめ規定しておくことはできませんが、
実際に故障したPCの修理費用を、従業員へ請求すること自体は、
法律上、認められていないわけではありません。

このように、従業員への損害賠償請求自体は、
民法の不法行為の条文を根拠として、認められてはおりますが、
そもそも、従業員の不注意により、会社に損害が発生するのを未然に防ぐため、
「従業員が会社に損害を与えた場合は、その損害の賠償を請求する場合がある」、
などといったような、いわゆる「損害賠償に関する規定」を、
就業規則へ定めておくことも、うっかりミスの予防策として、一定の効果が期待できます。。

就業規則の制定・改定に関するご相談は、グスクード社会保険労務士事務所へ

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