2022.12.20

Column

歩合給制の割増賃金計算について

こんにちは、グスクード社会保険労務士事務所です。

今回のテーマは「歩合給制の割増賃金計算」についてです。

歩合給制とは、契約件数や売上高などの業績に応じて給与が変動する賃金制度のことです。
出来高払制や成果報酬型、変動給ともいいます。

歩合給制だと残業代を支払わなくていいというイメージがあるかもしれませんが、
法定労働時間を超えて労働した場合、その部分について割増賃金の支払いが必要です。
歩合給制の場合、歩合給の額を総労働時間で割って1時間あたりの賃金を計算してから求めます。

例)ある月の給与の合計が190,000円であった労働者が、その月に法定時間外労働18時間を含めて190時間労働した場合

【完全歩合給190,000円の場合】
190,000円÷190時間=1,000円 時給額(1時間当たりの賃金)
1,000円×0.25=250円     1時間あたりの割増賃金
250円×18時間=4,500円    割増賃金額
190,000円+4,500=194,500円 当月の賃金額合計

なお、完全歩合給制においても最低賃金法が適用されるため、
1時間あたりの賃金が最低賃金を上回っているかどうか確認する必要があります。
確認する際は 総支給額÷総労働時間(時間外労働含む)で求めます。

【固定給150,000円+歩合給40,000円=190,000円の場合】
給与の一部を歩合給とする場合の割増賃金については、
固定給・歩合給部分を別々に計算します。

割増賃金(固定給分)
150,000÷172時間x1.25=1,090円 1時間あたりの割増賃金
1,090円x18時間=19,620円    固定給分の割増賃金額

割増賃金(歩合給分)
40,000円÷190時間x0.25=53円  1時間あたりの割増賃金額
53円x18時間=954円      歩合給分の割増賃金額

190,000円+19,620円+954円=210,574円 当月の賃金額合計

給与の一部を歩合給とする場合においても、最低賃金を上回っているか確認が必要です。
この場合、固定給・歩合給それぞれ異なる計算方法を用いて求め、合算した額で判断します。

時給換算式
固定給分:固定給の金額÷所定労働時間
歩合給分:歩合給の金額÷総労働時間

例示の方の時給額は、
固定給分:150,000÷172時間=872円
歩合給分:40,000円÷190時間=210円
872円+210円=1,082円 となります。

また、労働者の賃金が極端に低額になるのを防ぐため、労働基準法で
「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」
という保障給の規定をおいています。

例示の方の平均賃金の額や雇用契約等にもよりますが、
最低賃金もしくは最低保証給(平均賃金の60%以上)のいずれか高い方をもって算出する必要がありますので注意が必要です。

いかがでしたでしょうか。
ちなみに、歩合給制を導入する場合の歩合給部分には、
例えば、「営業手当」などの名称で契約や売上高に応じて支給されるものも該当しますので、
手当の名称や金額の大小にかかわらず、正確に歩合給の計算をする必要があります。
弊所では給与計算の代行業務も取り扱っておりますので、給与計算でお困りの際はお気軽にご相談ください。

https://guscoord.jp/wp/service/outsourcing/payroll/

最近の投稿

月間アーカイブ